2022.11.10

地方企業が実は日本を支えている

都心に本社を構える大企業や、海外に劣らぬ勢いの新興企業を見ていると、やはり日本経済の中枢は都心にあると感じることも多いかもしれない。しかし、実態はそうではないのだ。地方企業は、その立地から、近隣市場の規模が小さい、産業インフラに乏しい、景気回復の動きが遅いなどの各種ハンディがあるわけだが、そういったものをも跳ね返して、広く日本全国や世界の市場を舞台に活躍している例もある。当コラムでは、地方企業が日本を支えている実態やこれから地方転職を検討する人が知っておくべき課題も含め記載していく。

目次

  1. 中小企業と地方企業
  2. 雇用の創出
  3. 日本を支える地方企業が抱える課題
  4. まとめ

1. 中小企業と地方企業

日本の全企業数に対して中小企業の占める割合は99.7%。大きく日本の経済を支えている中小企業。その中小企業の多く集まる地域というのが、都心から離れた地方である。特に製造業などのある一定の資源を必要とする産業では、その地域独自の気候や環境が好まれるため、古くから地方に根差している企業も少なくない。

またそういった日本の製造技術は海外からも高い評価を得ており、地方独自の技術が日本を支えている背景というのは色濃く残っているのだ。

2. 雇用の創出

大企業が新興市場や低労賃を求めて国内拠点の縮小・海外立地に動くなか、持続的に地域の産業と雇用を担うのは、その地に根差した中小企業である。

また、地方に立地している中小企業は限られるので、中小企業は、地域住民の有力な就職先となって、地域の雇用をけん引している。

こうした企業の多くは、地域の企業同士や教育機関と太いネットワークを形成したり、地域資源を活かして独自の強みを示すなど、地域と密着して強固な地盤を形成している。加えて、独自の工夫で地域の女性・高齢者の雇用を創出している例もある。

3. 日本を支える地方企業が抱える課題

とはいえ、日本全体でみると地方に根差す多くの中小企業を含め、その企業数の減少傾向が続いており、さまざまな課題を抱えているといわれている。

中小企業庁の「中小企業白書」によると、日本の企業数は1999年以降減少傾向にあり、その中でも「中小企業・小規模事業者」は1996年以降20年間で約120万社の減少。

このような状況の背景には、経営者の高齢化と後継者不足や、企業の強みである技能・技術の承継に関するコスト、近年注目を集めている環境配慮の必要性、働き方改革への対応など、さまざまな変化への対応が遅れていることが大きな理由の一つである。

4. まとめ

日本を強く支える中小企業、そしてその中小企業の多く集まる、地方。

ITの発展により、地方と都心との情報格差が小さくなった現代において、日本を大きく支える地方企業への転職というのは、今や推奨されるべき選択肢なのかもしれない。

また、地方の中小企業への転職を考える際、日本の中小企業が抱える問題に目を向けることは、地方転職先での自身のキャリアや目標を明確にしていく大きなきっかけとなる。都心で働いていた経験を活かした地方の転職先での取り組みを検討していくことで、日本の経済を大きく支える有意義なキャリア形成の一歩となるだろう。